建築のおしごと

女性建築士の建築ブログ。建築の世界に興味のある学生さんや一般の方に建築に興味を持って頂けたらと思います。建築のお仕事の内容や、建築のお仕事をしたい学生さんへの勉強の仕方、 建築の楽しみ方、建築業界での女性の働き方などについて、つらつらと書いていきたいと思います。プロフィールのURLからそれぞれのテーマごとのまとめページに飛ぶことができます。

建築のお仕事って何?その3:建築ってどうやって作るの?

建築のそれぞれの専門分野を理解するために、建築をどうやって作るのか、みなさんに一番身近な建築である家を例に、実際にそのプロセスを大まかに見ていきたいと思います。

まず1番に決めなければいけないのは、どこに家を建てるのか、つまり敷地です。建築は敷地がないと建てられません。

敷地が決まったら、意匠設計者の登場です。意匠設計は、お客さんとどんな家を作るのか設計要件を決め(家の大きさ、部屋の数や広さ、素材など)、敷地ごとに決められた法律条件と照らし合わせながら、大まかなデザインをまず決めます。

大まかなデザインが決まったら、設備設計者と構造設計者の登場です。設備設計は意匠設計が作ったデザインに、照明機器や電気配線、トイレやキッチン・お風呂の給排水管、エアコンの位置や空調配管・室外機の場所などを決めていきます。構造設計は意匠設計が作ったデザインに対し、柱や床、梁の寸法など、家の骨組みを決めていきます。人の身体に例えると、意匠は肌の色や髪の長さなどの外観、構造は骨、設備は内臓や血管です。

設計をしていくと、例えば配管を通す為のスペースが足りないとか、柱を追加する必要があるけれどそこが部屋の真ん中になってしまうですとか、意匠・設備・構造の三者でうまく納まらない箇所が出てきます。意匠設計はリーダーシップをとってこれらを調整して、デザインを作り上げていきます。

デザインを作ったら意匠設計はお客さんにそれを見せ、内容を確認してもらいながらデザインの変更やより詳しい内容を決めていき、またそれを設備と構造に伝えて調整して…を繰り返して、家の建築図面を作り上げていきます。

建築図面が完成したら、その家が法律に適合しているか、第三者機関に確認をしてもらいます。この法規の確認を確認申請と言って、確認申請をするのが確認申請機関です。

確認申請が無事に通ったら、実際に大工さんに家を建て始めます。この工事を進めるのが施工者です。事故のないように工事現場の環境を整え、工事をどのように進めるかのスケジュールや作業方法を決め、材料や職人さんを手配して、家を建てていきます。その間、意匠・設備・構造の設計者はそれぞれ図面通りに工事が進んでいるか確認をします。

家が完成したら確認申請機関も設計図通りに工事が行われていることを確認し、間違いがあれば是正工事をします。確認申請期間がOKを出せば、家が完成となるのです。

もちろん、このプロセスの中には更に細かな作業が山のようにあるのですが、大まかな流れとそれぞれの分野の役割はどんな規模の建築でも変わらないと思います。